最終更新日:2022.3.9
2022年のF1グランプリの開幕が近づいてきました。2022年のF1は全く新しいレギュレーションとなって、F1にとっては大改革のシーズンとなるようです。こちらのページでは、2022年のF1シーズンのレギュレーション変更のポイントとグランプリやプレシーズンテスト日程をまとめています。
2022 F1レギュレーション変更ポイント
● 空力コンセプトの変更
● 18インチタイヤ導入
● Q2タイヤ使用義務の廃止
● E10燃料の導入
● スプリント予選の名称とポイントを変更
2022年のF1レギュレーションの大きな変更となるのは、上記5つがありそうです。まず、2022年のF1マシンはオーバーテイクを増やす目的で、空力コンセプトの大幅な変更が行われます。
まず、複雑すぎたフロントウイングやバージボード周りの形状が2022年は廃止されています。マシン後方に乱気流を発生させるこれらのパーツを簡素化することで、後続車が接近しやすくオーバーテイクを促す効果が期待できます。
フロントウイングは一枚のパーツで作らなければならないと規定されたことで、これまでのウイングとは形状が大きく異なり、その効果と役割は小さなものへと変更されるでしょう。
加えて、13インチタイヤから18インチタイヤへの変更で、従来のF1マシンとは大きく異なる見た目となるでしょう。また、タイヤ関連として予選Q2を突破したタイヤでの決勝レースのスタート義務が廃止され、決勝レースのスタートタイヤは自由に選択できるようになります。
2021年のF1マシンはガソリンに7,5%のエタノールを配合した燃料を使用していましたが、2022年はその配合量が10%となります。尚、この配合量アップで予想されたパワーダウンは、燃料メーカーの研究・開発によってゲインしたと言われています。
F1マシンとは直接関係はありませんが、2021年で3戦行われた「スプリント予選」が「スプリント」と名称を変更して、2022年も第4戦、第11戦、第22戦の計3戦での開催も決定しています。
尚、2021年では3位までがポイント対象でしたが、2022年は8位まで8点〜1点までそれぞれにポイントが与えられるようになりました。
パワーユニットのレギュレーション【開発の凍結】
2022年F1のパワーユニットに関連するレギュレーション変更はありませんが、2025年まではパワーユニットの開発が凍結されます。F1は2026年から新規定のパワーユニットが導入される予定になっていますが、開発凍結を行うことで新しいメーカーの参入を促す目的があります。
というのも、2025年までパワーユニットの開発を凍結することで、次期パワーユニットの準備をするための時間が生まれます。現在参戦中のメーカーと参戦したい新しいメーカーにもメリットがあると判断されたようです。
このパワーユニット開発の凍結が2022年より開始されます。しかし、ICE、ターボチャージャー、MGU-H、排気システム、燃料が3月1日、MGU-K、エナジーストア、コントロール・エレクトロニクスは9月1日が開発凍結の期限となっていることから、各メーカーは期限までは開発競争が行われているはずです。
2014年から現行レギュレーションが開始されましたが、圧倒的なパフォーマンスを発揮したのがメルセデスでした。メルセデスはホンダを含めたメルセデス以外のメーカーが採用していた、ターボチャージャーとMGU-Hを一体化したレイアウトではなく、分割して搭載することに成功したメーカーでした。
パフォーマンスに苦しんでいたホンダが2017年になって、メルセデス同様のターボチャージャーとMGU-Hを分割して搭載するレイアウトに変更したことで、2021年のドライバーズチャンピオンを獲得するマシンへとなったのは周知の通りです。
このメルセデス方式の分離レイアウトは現在、メルセデスとホンダのみとなっています。しかし、2025年までのパワーユニットのパフォーマンスの基準となる開発が今シーズンまでとなることから、ルノーやフェラーリもメルセデス方式に変更するかもしれないと言われています。
そこで、このパワーユニットをF1初心者にもわかりやすくまとめてみました。まず、F1のパワーユニットは下記5つのコンポーネントから成り立っており、そのすべてをECUエンジンコンピューターが統合的に制御しています。
● エンジン(ICE)
● 運動エネルギー回生システム(MGU-K)
● 熱エネルギー回生システム(MGU-H)
● バッテリー(ES)
● コントロール・エレクトロニクス(CE)
*画像引用元:mercedes amg f1.com
エンジン(ICE)
● 排気量・・・・・・1.6リットル
● 最大回転数・・・・15,000rpm
● バンク角・・・・・90度
● 気筒数・・・・・・6気筒
● 最大燃料流量・・・110kg/時
● 最小重量・・・・・145kg
一般的にエンジンと呼ばれる内燃機関がICEです。2013年までの2,4リッターから1,6リッターへのダウンサイジング化(小規模化)が行われています。燃料の使用量も現行レギュレーションでは35%程度も抑えられ、燃費に厳しいコースによっては燃料をセーブしなければならない場合もあります。
運動エネルギー回生システム(MGU-K)
市販のハイブリッド車が採用しているのが、この「運動エネルギー回生システム」と同じシステムとなります。モーターとジェネレーター(発電機)ユニットを利用し、運動エネルギーを電気エネルギーに変換する装置がこれです。
クルマを減速するときにはブレーキをかけますが、このブレーキング時に発生した熱エネルギーを、モーターとジェネレーターユニットを作動させて回収して、熱エネルギーを電気に変換してバッテリーに蓄えます。ただし、MGU-Kは120kWまでしか蓄えることができません。
このMGU-Kに蓄えたエネルギーでタイヤを駆動させることで、MGU-Kの最大出力120kW=161馬力をプラスしてマシンを走らせることができます。ストレートエンドでブレーキランプのように点滅するのは、このエネルギーが切れたことを後続車へと知らせて追突を防ぎます。
熱エネルギー回生システム(MGU-H)
F1だけに採用される熱エネルギー回生システム(MGU-H)は、エンジン(ICE)から放出される排気ガスの熱エネルギーを電気エネルギーに変換し再利用するための装置です。
MGU-Hで生成されたエネルギーは即座に使うか、もしくはMGU-Kのようにバッテリーに蓄えることができます。また、MGU-HはMGU-Kのように回生エネルギー量に制限がありませんが、バッテリーからMGU-Kへの転送には1周あたり最大2MJという上限が定められています。
MGU-Hで回生したエネルギーはターボラグの解消に使われます。ターボラグはコーナーの出口でのアクセルオン時に発生しますが、ターボの代わりにMGU-Hがコンプレッサーを稼働させることで、このターボラグを解消して加速することが可能となります。
復帰当初のホンダが苦戦したのがMGU-Hの領域だと言われています。MGU-Hの回生エネルギー量には制限が設けられていません。パワーユニットの開発競争は、このMGU-Hの開発とイコールとなることからパフォーマンスに大きく直結する領域となります。
バッテリー(ES)
F1マシンに搭載されるバッテリーは、一般のクルマに使用されるバッテリーとは当然ながら大きく異なります。このESはエネルギー回生システムから送られてくるエネルギーを一時的に保存しておくために使われます。
ここで蓄えられたエネルギーを使用するためには、ESからMGU-Kへとエネルギーを転送する必要があります。実際にマシンのタイヤ駆動をアシストするのはMGU-Kとなります。尚、ESの大きさは20~25kgに制限されています。
コントロール・エレクトロニクス(CE)
パワーユニット全体を制御するための電子デバイスがコントロール・エレクトロニクス(CE)です。燃料流量や点火のタイミング、回生エネルギーを放出するデプロイメントのタイミングや量など、あらゆる動作を管理・コントロールするためのコントロールユニットとなります。
デプロイメントのタイミングや量はサーキットによって様々な設定が行われますが、このデプロイの設定が大きくレースを左右することも少なくありません。尚、コントロール・エレクトロニクスはレギュレーションによって、全チームがマクラーレン製を使うことが義務付けられています。
2022 F1チーム(ドライバー・パワーユニット)
チーム名 | パワーユニット | ドライバー |
---|---|---|
レッドブル | HRC | マックス・フェルスタッペン / セルジオ・ペレス |
メルセデス | メルセデス | ルイス・ハミルトン / ジョージ・ラッセル | マクラーレン | メルセデス | ダニエル・リカルド / ランド・ノリス |
アストンマーティン | メルセデス | セバスチャン・ベッテル / ランス・ストロール |
アルピーヌ | ルノー | フェルナンド・アロンソ / エステバン・オコン |
フェラーリ | フェラーリ | シャルル・ルクレール / カルロス・サインツ |
アルファタウリ | HRC | ピエール・ガスリー / 角田裕毅 |
アルファロメオ | フェラーリ | バルテリ・ボッタス / 周 冠宇 |
ハース | フェラーリ | ミック・シューマッハ / ニキータ・マゼピン |
ウイリアムズ | メルセデス | アレックス・アルボン / ニコラス・ラティフィ |
2022年のF1チームとドライバー、搭載されるパワーユニットは上記の通りです。2022年F1デビューとなるドライバーとして、F1初の中国人ドライバー周 冠宇(ジョウ・グアンユー)が唯一の新人ドライバーとなります。
チーム移籍となるのはウィリアムズからメルセデス加入となるジョージ・ラッセル。ラッセルにシートを奪われた形のバルテリ・ボッタスがアルファロメオに移籍。
そしてジョージ・ラッセルの移籍に伴って空いたシートに、レッドブルから2年振りにドライバー復帰する形でアレックス・アルボンがウイリアムズ加入となっています。
尚、2021年限りで撤退したホンダですが引き続き、レッドブルとアルファタウリにHRC製としてパワーユニットの供給を行います。
2022年 F1カレンダーとプレシーズンテスト日程
2022 F1カレンダー
Rd | 予選 | 決勝 |
---|---|---|
第1戦 バーレーンGP | 3/20(日)00:00 | 3/21(月)00:00 |
第2戦 サウジアラビアGP | 3/27(日)2:00 | 4/28(月)22:00 |
第3戦 オーストラリアGP | 4/9 (土) 15:00 | 4/10 (日) 14:00 |
第4戦 エミリア・ロマーニャGP | 4/23(土)23:00 | 4/24(日)22:00 |
第5戦 マイアミGP | 5/8(日)5:00 | 5/9(月)4:00 |
第6戦 スペインGP | 5/21(土)23:00 | 5/22(日)22:00 |
第7戦 モナコGP | 5/28(土)23:00 | 5/29(日)22:00 |
第8戦 アゼルバイジャンGP | 6/11(土)23:00 | 6/12(日)22:00 |
第9戦 カナダGP | 6/19(日)5:00 | 6/20(月)3:00 |
第10戦 イギリスGP | 7/2(土)23:00 | 7/3(日)23:00 |
第11戦 オーストリアGP | 7/9(土)23:00 | 7/10(日)22:00 |
第12戦 フランスGP | 7/23(土)23:00 | 7/24(日)22:00 |
第13戦 ハンガリーGP | 7/30(土)23:00 | 7/31(日)22:00 |
第14戦 ベルギーGP | 8/27(土)23:00 | 8/28(日)22:00 |
第15戦 オランダGP | 9/3(土)23:00 | 9/4(日)22:00 |
第16戦 イタリアGP | 9/10(土)23:00 | 9/11(日)22:00 |
第17戦 ロシアGP | 9/24(土)22:00 | 9/25(日)20:00 |
第18戦 シンガポールGP | 10/1(土)22:00 | 10/2(日)21:00 |
第19戦 日本GP | 10/8(土)16:00 | 11/9(日)14:00 |
第20戦 アメリカGP | 10/23(日)7:00 | 10/24(月)4:00 |
第21戦 メキシコGP | 10/30(土)5:00 | 10/31(日)5:00 |
第22戦 サンパウロGP | 11/13(日)3:00 | 11/14(月)2:00 |
第23戦 アブダビGP | 11/19(土)23:00 | 11/20(日)22:00 |
2022 プレシーズンテスト日程【放送日時】
開催地 | 日時 |
---|---|
バルセロナ | 2月23日(水)〜2月25日(金) |
バーレーン | 3月10日(木)〜3月12日(土) |
2022年のF1カレンダーとプレシーズンテストの日程は上記の通りとなります。2022年シーズンも動画配信サービスDAZNとフジテレビでの全セッションの放送が決定しています。
* バーレーンテストはDAZNが全セッションを生配信、フジテレビNEXTは午後のセッションの生放送が決定しています。
【フジテレビNEXT バーレーンテスト放送日時】
● 3/10(木) 20:30~25:10 (生放送)
● 3/11(金) 20:30~25:10 (生放送)
● 3/12(土) 20:30~25:10 (生放送)
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