最終更新日:2019.7.28
時計と言えば、今では単に時刻を知るためのツールと言うよりは、ステータス性やジュエリーにも似た装飾品としての意味合いが強いかもしれません。特に、ロレックスなどに代表される機械式時計においては、ステータス性が強く感じられるモデルが多数存在しているようです。さらに、近年の為替レートの変動やロレックスやオメガに代表されるスイスメイドの時計の大幅な値上げもあって、さらにその存在価値も高まっているように感じられます。
ロレックスやオメガに代表される高級時計と呼ばれる機械式時計は、その価格変動の中にあっても堅調な売上と同時に多くのユーザーも生み出しているようです。
スイスメイドに代表される機械式時計や高級クオーツ時計のユーザーになろうとしている方や、今現在も日常的に腕時計を愛用されている方にとっても、その時計メンテナンスについてあまり詳しくない方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、こちらのページでは時計メンテナンスの方法や、そのやり方などについてまとめてみました。
目次
時計メンテナンスの基本は定期的なオーバーホール!
すべての時計メンテナンスは定期的なオーバーホールが基本です。このオーバーホールという作業は、ムーブメント内(時計内部)の機械を分解して古い潤滑油を完全に洗浄し、新しい潤滑油を注油することです。すべての時計の歯車には、その軸受けに潤滑油となる油が注油されています。この油は3~4年で乾いてしまいます。この油が乾くことで、機械同士の抵抗が大きくなり、部品一つ一つの負荷も大きくなります。やがては部品の破損や時計の針が動かなるなどの不具合が生じてきます。
オーバーホールは、時計が故障してから行うのではなく定期的に行うことが重要です。このオーバーホールを適切に行うことで、機械式時計で言えば何十年にも渡ってあなたと同じ時を刻んでくれます。機械式時計の大きな魅力となっているのも、こういったところにあるようです。
このオーバーホールは機械式時計に限らず、クオーツ時計であっても必須のメンテナンスとなります。とは言っても、クオーツ時計の動力源はステッピングモーターが使われ、機械式時計に比べても歯車の数も少なく負荷も小さく、機械部分の部品点数も極端に少ないこともあって、機械式時計よりも長いスパンでのオーバーホールで良いのではないでしょうか。
- 機械式・・・3~5年の間隔が理想的
- クオーツ・・・5~7年の間隔がおすすめ
また、クオーツ時計に関しては、動力源であるステッピングモーターの寿命(10年前後)も考慮しながら検討されてみてはと思います。このステッピングモーターの寿命も適切なオーバーホールを行うことで、機械部分の負担を減らしてあげることで、引き延ばすことも可能になっていきます。
オーバーホール時期によく見られる症状
オーバーホールは、その時計の製造から4~5年経過後には一回目のオーバーホールを実施した方が良いのですが、何らかの不具合が生じてから検討される方も多いようです。長期間オーバーホールを行わない時計のムーブメント内では、油の劣化によって様々な不具合が発生していきます。代表的な油の劣化による不具合をまとめてみました。
- 時計が遅れる
- リザーブ時間が減少する
潤滑油の劣化によって引き起こされる代表的な症状が、その時計の針が遅れだすことです。機械式時計の場合はクオーツ時計の正確さに比べ劣ってしまいますが、1日1分以上から数分といった具合に遅れだします。これは、ムーブメント内の油の劣化によって、注油された油が潤滑油の役割を果たしていないことが原因です。
次に多い症状が、リザーブ時間の大幅な減少です。機械式時計の動力源はゼンマイです。機械式時計の中でも自動巻きと呼ばれる時計は、腕につけていることで腕の様々な動きに連動してゼンマイを巻き上げ、そのゼンマイのほどける力を利用して歯車を動かし、針を動かしています。このゼンマイがほどけてしまう時間のことをリザーブ時間と呼んでいますが、このリザーブ時間は多くの自動巻き時計で48時間ほどです。このリザーブ時間の減少は、ゼンマイを巻きあげるローターの動きが、油の劣化によってスムーズに運動しないことがその原因となってきます。
オーバーホールの依頼先はメーカーと民間
オーバーホールの依頼先としては、その時計の製造・販売元であるメーカーと、民間の時計修理店への依頼が代表的な依頼先となります。時計メンテナンスは、クルマのメンテナンスと同列で語られる場合が多いです。クルマであれば、ディーラーと呼ばれるそのクルマの製造・販売元であるメーカーが安心・安全ですが、その対価として割高な料金となります。一方の民間のカーディーラーであれば、同じメンテナンスであっても、その価格はディーラーに比べ割安な場合がほとんどではないでしょうか。
時計メンテナンスもクルマ同様に、メーカーが安心・安全な反面、その料金は高額です。民間の時計修理店であれば、クルマ同様に割安な価格設定がなされている場合がほとんどです。また、時計メーカーによっては日本国内の正規代理店以外からの並行品で購入された時計には、正規品と比べ大変高額な割り増し価格を提示するメーカーも存在します。
時計メーカー別オーバーホール価格
- ROREX・・・3針自動巻き 46,200円・クロノグラフ 63,000円
- OMEGA・・・3針自動巻き 32,500円・クロノグラフ 52,500円
- GRAND SEIKO・・・3針自動巻き 31,500円・クロノグラフ 63,000円
- IWC・・・3針自動巻き 48,300円・クロノグラフ 63,000円
- BREITLING・・・3針自動巻き 50,000円・クロノグラフ 70,000円
- TAGHeuer・・・3針自動巻き 31,500円・クロノグラフ 64,800円
*TAGHeuer並行品50%up/BREITLING並行品100%up
民間時計修理店オーバーホール価格
- クオーツ・・・15,000~20,000円
- 3針自動巻き・・・20,000~40,000円
- クロノグラフ・・・35,000~50,000円
時計メンテナンスにおけるオーバーホールは、そのメーカーが安心・安全な依頼先としておすすめとはなりますが、その高額なメンテナンス価格がネックとなり、民間の優秀な時計修理店にその依頼先を求める時計ユーザーが増加している背景が最近では顕著です。優秀な民間の時計修理店の多くには、メーカー在籍経験がある技術者の雇用や、ある特定のメーカーやブランドに特化した時計技師の在籍が増えてきていることもその背景にあるようです。
とはいっても、時計メンテナンスで欠かせないオーバーホールではどうしても部品交換は避けて通れません。その際の交換部品は、クルマ同様にそのメーカーの純正部品での交換が必須です。また、この部品交換をメーカー以外の凡庸部品での交換が行われたことがメーカーによって確認され次第、その時計はその後のメーカー対応の対象外となってしまいます。このことが、時計のオーバーホールの民間依頼の大きなマイナス要因だとされてきましたが、優良な民間の時計修理店では、純正部品の入手ルートの調達や、メーカーとのパイプによって純正部品の確保がなされているようです。
ですが、メーカーやブランドによっては純正部品の調達が困難なモデルも存在しています。そういったモデルの引き受けを行わないのも優良な時計修理店に多い対応となっているようです。また、メーカー価格に比べ50%を切るような極端に安い価格設定がなされている時計修理店には注意が必要です。そのような粗悪な時計修理店の多くは満足なオーバーホールを行えないか、交換部品が発生した場合も入手ルートが確立していない時計修理店である確率も高くなりますので同様に注意が必要でしょう。
まとめ
- オーバーホールは4~5年が理想的
- 依頼先はメーカーと民間の2つ
- 交換部品は純正部品が必須
時計メンテナンスの基本である「オーバーホール」」についてまとめてみましたが参考になったでしょうか。特に機械式時計は、定期的なオーバーホールを行うことで末永く時を刻み続けます。定期的なメンテナンスを行うためにも、そのコストの見直しが必要な場合もあるのではないでしょうか。
特に最近では急速なネットの普及もあって、容易に全国対応の優良な民間の時計修理店を探すことも可能です。これまでのメーカーの一択であった時計メンテナンスも変わりつつあるようです。
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